血圧の平均と正常値:年代別・男女別
50代、60代の血圧の平均はどれくらい? 自分の値は正常なのか? 国の調査による年代別・男女別の平均と、日本高血圧学会の最新ガイドラインの基準をくらべながら解説します。大切なのは、「平均」と「正常」は同じではないということです。
年代別・男女別の血圧の平均
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2023年)による、日本人の血圧の平均値です(最高血圧/最低血圧、単位 mmHg)。
| 年代 | 男性の平均 | 女性の平均 |
|---|---|---|
| 20代 | 114 / 71 | 106 / 65 |
| 30代 | 119 / 76 | 108 / 69 |
| 40代 | 121 / 77 | 114 / 71 |
| 50代 | 131 / 83 | 123 / 76 |
| 60代 | 134 / 79 | 131 / 76 |
| 70歳以上 | 138 / 75 | 136 / 74 |
| 20歳以上全体 | 132 / 77 | 126 / 74 |
調査員が2回測った値の平均で、血圧の薬を飲んでいる人も含まれます。数値は小数点以下を四捨五入しています。
表からわかるように、最高血圧(上)は年齢とともに上がり、最低血圧(下)は50代をピークに少し下がります。年をとると血管がかたくなるため、上の血圧が上がり、上と下の差が広がりやすくなります。
「平均」と「正常」は違う
ここがいちばん大切なポイントです。上の表は「その年代の人の多くがどれくらいか」を示すもので、「健康的な値」ではありません。たとえば60代男性の平均134/79は、日本高血圧学会の分類では高値血圧にあたります。
血圧が高いと、何歳であっても脳卒中、心筋梗塞、腎臓病のリスクが高まります。そのため正常値は年齢によって変わらず、どの年代の大人にも同じ基準が使われます。2025年の新しいガイドライン(JSH2025)では、治療の目標も年齢にかかわらず診察室血圧130/80未満にそろえられました。
「上の血圧は年齢+90までなら大丈夫」といった昔の目安は、現在のガイドラインでは使われていません。
正常値と高血圧の基準
日本高血圧学会のガイドラインによる、診察室血圧(病院や健診で測る血圧)の分類です。
| 分類 | 最高血圧(上) | 最低血圧(下) |
|---|---|---|
| 正常血圧 | 120未満 | 80未満 |
| 正常高値血圧 | 120〜129 | 80未満 |
| 高値血圧 | 130〜139 | 80〜89 |
| I度高血圧 | 140〜159 | 90〜99 |
| II度高血圧 | 160〜179 | 100〜109 |
| III度高血圧 | 180以上 | 110以上 |
正常血圧と正常高値血圧は上下の両方を満たす場合、高値血圧から上は上下どちらかが当てはまれば、その分類になります。上と下で分類が違うときは、高いほうの分類です。たとえば125/85は、下の血圧で「高値血圧」です。上だけが140以上で下が90未満の場合は収縮期高血圧と呼ばれ、高齢の方に多いタイプです。
JSH2025 では、120/80以上のすべての人を血圧管理の対象としています。「正常高値」や「高値」は病気ではありませんが、減塩や運動などの生活習慣の見直しを始めるサインです。
家庭血圧の基準
家庭でリラックスして測ると、診察室より低めに出るのが普通です。そのため家庭血圧の基準は5 mmHg 低く設定されています。
| 高血圧の基準 | 治療中の目標(JSH2025) | |
|---|---|---|
| 診察室血圧 | 140/90 以上 | 130/80 未満 |
| 家庭血圧 | 135/85 以上 | 125/75 未満 |
家庭血圧は1回の値ではなく、朝と晩それぞれの平均で判断します。測り方と平均の出し方は「血圧記録表と正しい測り方」で詳しく紹介しています。
女性の血圧と更年期
正常値と高血圧の基準は、男女で同じです。違うのは年齢による変化のしかたです。
- 40代までは、女性は男性より血圧が低い傾向があります(上の表で30代女性の平均は108/69)。
- 更年期を過ぎると、女性の血圧は男性より急に上がり、60代以降は男女の差がほとんどなくなります。50代で「急に血圧が上がった」と感じる女性が多いのはこのためです。
- 妊娠や一部のピルも血圧に影響します。女性には、とくに血圧を測っておきたい時期があります。
下の血圧(最低血圧)が高いとき
上の血圧が正常でも、下の血圧が90以上なら高血圧です(たとえば128/92)。下の血圧だけが高いタイプは、30〜50代の働く世代に多く、肥満、塩分のとりすぎ、飲酒、運動不足、ストレスなどが関係しています。上の表でも、男性の最低血圧の平均は50代で最も高くなっています。
家庭で測った下の血圧の平均が85以上の日が続くようなら、かかりつけ医に相談しましょう。
脈拍の正常値
ほとんどの血圧計は脈拍も表示します。安静時の大人の脈拍は、ふつう1分間に60〜100回です。運動習慣のある人はもっと少ないこともあります。脈拍も記録しておきましょう。極端に速い、遅い、不規則といった変化は、医師にとって大切な情報です。
血圧が低いとき
低血圧には高血圧のような明確な基準はありませんが、上の血圧が100未満を目安にすることが多いです。若い人ややせ型の人ではよくあることで、症状がなければ心配いらないことがほとんどです。次のような症状がある場合は医師に相談しましょう。
- 立ち上がったときのめまいや立ちくらみ
- 気を失う、または気が遠くなる
- 目のかすみ、吐き気、ぼんやりする、いつもと違うだるさ
血圧の薬を飲んでいて低い値が続くときも、自分で薬を減らしたりやめたりせず、医師に相談してください。
子ども・妊娠中の血圧
子どもや中高生には大人の基準は使いません。同じ年齢・性別・身長の子どもとくらべて判断するので、数値の見方は小児科で確認しましょう。
妊娠中は、妊娠高血圧症候群などを早く見つけるために血圧を注意深く確認します。どの値で連絡すべきかは、主治医や助産師に確認しておきましょう。血圧が高く、強い頭痛、目がチカチカする、みぞおちの痛みなどがあれば、すぐに受診してください。
とても高い値が出たら。180/110 以上の値が出たら、1分ほど休んでもう一度測りましょう。それでも高く、胸の痛み、息苦しさ、手足のまひやしびれ、ろれつが回らない、見え方がおかしいといった症状があれば、すぐに119番に電話してください。症状がなければ、その日のうちにかかりつけ医に相談しましょう。
参考文献
- 日本高血圧学会:高血圧管理・治療ガイドライン
- 国立健康・栄養研究所:国民健康・栄養調査 身体状況調査の年次推移(血圧の平均値)
- 厚生労働省:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(PDF)
- CareNet:高血圧管理・治療ガイドライン2025の主な改訂点